第四章
一向は、クルッサムの手前にある武器・防具の町【ギルア】へと来ていた。
【武器・防具店】
『ここは、品揃えが良いですね。』
フェルが目を光らせて、あれもこれもと視線を泳がせている。
「ああ。少しでも急いで【シー・ランド】から、この町まで来たかいがあったぜ!!」
何やら自信満々にふんぞり返って応えるコルア。
フェルは、自分にピッタリの武器などを品定めしつつ、コルアへと視線を戻す。
『さぁ…早く買出しして、【クルッサム】へ行きましょう!!』
「あぁ。」
―――――数時間後
「よーっし!!買出しも終わったし、早速行くか?!」
たくさんの武器・防具に回復剤などを詰めたリュックを背負い、コルアが行くぜ!と唸った。
フェルは、外を見た後、コルアへと視線を戻す。
『コルアさん…・・もう夜なんですけど……。』
「あぁ、行くぜ!」
フェルの言葉が、行こうと聞こえたのか、行く気満々でコルアは店の外へと飛び出した。
『だから〜…・・夜なんですってば!!』
フェルが慌てて後を追う。
「!!!!
よ、、、よるぅぅぅぅぅぅ?!」
一人?興奮した状態のコルアを横目に、呆れたフェルは溜め息を付いた。
『はぁ〜…。今日は、この町で宿をとりましょう。』
そう言うと、フェルはキョロキョロと辺りを見回して、宿屋を探す。
―――――宿屋にて
「いらっしゃい。」
『2名お願いします。』
「はいよ。部屋は2階の突き当たりの部屋だよ。」
『ありがとうございます。』
優しそうなおばさんとの宿泊の手続きを済ませ、フェルは、一人大荷物を抱え、部屋へと運んだ。そして、放心状態のコルアへと声をかける。
『よいしょっ…・・。コルアさ―ん!!』
「う…・・ここは?」
『宿屋ですよ!』
「あぁ…宿屋なのか…。」
コルアは頭を抑えながら、ベッドへと腰掛ける。
『コルアさん…買出しに時間かけすぎですよ!!
武器屋や、防具屋で2時間も悩むんですもん……夜になるのも…当たり前ですね……。』
フェルは、買出ししたアイテムを取り出しながら、ブツブツと文句を言っていた。
コルアは顔を赤くしながら、フェルへと猛抗議を始めた。
「…な…何だよ!!
…フェルだって、その割にはアイテム買うのに1時間も悩んでたじゃねえか!?」
『アイテムは必需品ですから!!何個買うとか、全種類買うのにはどれくらいずつ買えば良いとかで、悩むんですよ!!』
「なんだとー!!」
『やりますか〜?』
すると、突然コルアが笑い出した。
「ふははっ!!」
『何ですかっ?!今、笑うとこじゃないですよ!』
少しムスっとした表情のフェルがコルアを訝しげに見つめている。
コルアは、腹を押さえつつフェルを見つめた。
「いや、悪い悪い!
何か、こうやって言い合えるのって…いいなぁって思ってな……。」
『…コルアさん…?』
コルアは、遠い目をして一つ一つ思い出すかのように、口を開いた。
「俺な、昔…仲間に裏切られた事があったんだ。
凄く…信用できた親友が…仲間だったんだが……一緒にその頃パーティ組んでいた奴が、俺達を裏切り、俺の親友を殺し、俺までも殺されそうになった。
俺は、生きる為に…かつて仲間として過ごして来た奴を殺した。
後で知ったんだが…裏切った奴らは、最初から俺と親友の二人を狙って、パーティに入ったんだ。
それからというもの、俺は誰も信用できなくなった。
だからもう…そんな目に合いたくねぇし、合わせたくもねぇから……。
誰ともパーティーを組まずに、それ以降はずっと一人でやってきた。」
コルアの口から聞く、初めての過去の暗闇の部分。
だが、フェルには1つだけ疑問が残った。
『じゃあ…コルアはどうして…僕を仲間にしてくれたんですか?』
きっと、フェルじゃなくても、この質問をしただろう。
そう思ったからこそ、コルアは苦笑した。
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