01. The beginning -周り始める歯車-


・・・ス。

・・・リス。





・・・?
・・・誰?・・・アタシを呼んでいるの?


この声は・・・?



「急いでっ!」


「え?」

ふと気付いた自分の姿に驚いた。
絵本で見るようなフリフリのエプロン・・・なんかじゃない。
どこか、喫茶店の店員とかで居そうな衣装。むしろセーラー服みた・・(略)
それに身を纏った自分。
そして何故だか前にいる兎の耳を生やした男性を追いかけているっていうこの状況・・・。
少女は、変なシチュエーションにピタリと足を止めた。

「・・・?何で?何でアタシはあの人を追いかけているの?」

訝しそうな顔をして少女は頭を悩ませている。
先を走っていた兎耳を生やした男は、ふと振り返り、彼女が付いて来ていないのに気付くと、ぴょんぴょんと飛び跳ねながら

「ちょ!!アリス!急いで!」

突然声をかけられ、何のことやらと首を傾げる。
「え?アリス・・・ってアタシのこと?」

自分を指差しつつ問いかける。そんなの今更聞くことかと脱力したような表情で問われた兎耳の男は答える。

「何を今更!とにかく急いで!このままじゃ遅刻してしまう!」
「あ!あのッ!!」
「話は全部着いてから聞く!」

無理やり押し切られた台詞に、少女は黙り込むしかなかった。

「うーん・・何なのよ、一体?」
「早く、着いて来て!」
「あ、はい・・」

とにかく、止まってるわけにもいかず、少女は兎耳の男の後を追った。